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クラウディオ・アバドの想い出

世界最高峰の指揮者、クラウディオ・アバドが亡くなった。大好きな指揮者で、いつかはこんな日がくるとはいえ、大きなショックを受けた。


僕がアバドを知ったのは高校生の時だった。当時、ベルリンフィルの音楽監督をつとめていたころで、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の録音を友人に借り、その瑞々しい音楽に感激し貪るように聴いたことを覚えている。
その後も様々な好奇心をもって明晰な解釈を提示するアバドの演奏は大好きで、数々の録音を聴いてきた。中でも思い出深いのは、ムソルグスキーの展覧会の絵とその他の小品を収めたアルバムだろうか。


実演は、わずかに三回だけだったけど、いずれも心に残るものだった。
1回目はベルリンフィルとの日本公演でのブルックナーの五番をメインに、前半にモーツァルトの協奏曲を配置したもの。ブルックナーの2楽章のうねるような弦楽器の響きが今も耳から離れない。
2回目は同じ日本公演でのマーラー三番。長い作品だが、全体の構成が素晴らしくて感動したことを覚えている。
最後はベルリンでのマーラー六番。すでにベルリンフィルの音楽監督を退任し、大病も患っていたあとなのだが、その静かに燃え立つ情熱に満ちた演奏は、忘れられない思い出で、涙がこぼれたことを覚えている。


もっともっと素晴らしい演奏を聞かせて欲しかった。
マエストロという呼び名が似合わない、永遠の青年のような人だったけど、きっと天国でも音楽を奏でていることだろう。

ご冥福をお祈りしています。

プロフィール

Noritaka ITO

Author:Noritaka ITO
伊藤憲孝(いとうのりたか)‐ピアノ

1978年生まれ。オランダ・アムステルダム、ドイツ・ベルリンで研鑽を積み、イタリアで行なわれた第18回“チタ・ディ・ヴァレンチノ”国際コンクールで第1位を受賞。日本国内主要都市をはじめ、アメリカ合衆国、ドイツ、オランダ、オーストリア、スロヴァキア、イタリア、セルビア、マレーシア、韓国など世界各国で演奏を行なっている。その演奏は、The New York Times(アメリカ合衆国)をはじめ、Die Neue Zeitschrift für Musik(ドイツ)、Rundfunk Berlin-Brandenburg(ドイツ)などで取り上げられている。スロヴァキア国立歌劇場管弦楽団をはじめ国内外のオーケストラとの共演。室内楽奏者として、NHK交響楽団、サイトウ・キネン・オーケストラ、名古屋フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団、広島交響楽団、ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団、香港シンフォニエッタ、マレーシア国立交響楽団各奏者との共演など、活発に活動を行なっている。
 
録音は、国内でディスク・クラシカよりCD <Beethoven, Activated>と<ベートーヴェン/リスト:交響曲第7番他>をリリース。ヨーロッパにおいては、ベルリンのKreuzberg Recordより世界初録音の4曲を収録したTrio kuのCDアルバムがリリースされている。
また、iNos Recordsよりインターネット配信限定となる<ムソルグスキー:展覧会の絵>、<ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番>がiTunes、AmazonMP3などを通して世界111ヶ国の国と地域にリリースされている。
 
現在、福山平成大学准教授、エリザベト音楽大学大学院非常勤講師をつとめると同時に、マレーシアのSEGi College universityでのマスタークラス、トーキョーワンダーサイトでのワークショップなど、各地で後進の指導を行っている。

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