記事一覧

3つの“鬼”エチュード~酒井・徳永・川島作品

7月5日に名古屋で素晴らしいサックス奏者2人とのトリオで演奏するのですが、前半にはそれぞれのソロでの演奏もお楽しみ頂ける、盛りだくさんの演奏会となっています。





僕にとっては初めての名古屋での演奏で、とても楽しみです。そして終演後の名古屋名物での打ち上げと、翌日予定している犬山城への訪問も待ちきれない思いなのです。

そんな楽しみもあって、ソロでは気合いをいれたエチュード特集を演奏しようと、邦人作曲家3名の作品でプログラムを組んだのですが、これらが“鬼”難しいんですよ…。



先ずは1曲目には、僕にとってとても大切な作品となる酒井健治さんの「Scanning Beethoven」を演奏します。
この作品は、今年中の発売を予定しているベートーヴェンのソナタと3名の作曲家に委嘱した作品を組み合わせたCDのために作曲されたもので、すでに本番でも演奏しましたし、酒井さん立ち会いのもと録音も終えています。



よく知ってる作品なのですが、久しぶりに演奏するとやはり難しい…。複雑なリズムが組み合わされていて、そこを弾きこなすのがかなり厄介なのですが、うまくいったときに浮き上がってくる美しい響きは堪らないものがあります。


終結部には“鬼”の3度が待ち構えています。録音前には、2か月前から毎日の基礎練に組み込みシコシコとマスターしたのですが、久しぶりに弾くと弾けないんですねえ。
また頑張ります!





2曲目には徳永崇さんの「Etude for piano and pluse」です。And plusとあるように、電子パルス音をスピーカーから流しながら(煽られながら…)、演奏します。種にピアニストの身体的動作に焦点を当てたエチュードで、最低音と最高音を多用します。面白い音響が魅力的な作品ですね。



身体的な動きも作曲家から指定されていて、この音型を弾いていると、脳ミソが揺すられるのか、ちょっと乗り物酔いみたいになっちゃうんですよ…。三半規管のエチュードでもあるのかも(笑)、と思っています。



片手で掌でのクラスターで弾けば超楽チンなパッセージも、両手で指で弾くように指示されています。♪=168のテンポに乗せてなので、腰にきます!徳永さんからは、楽譜のデータとともに「サロンパスはこちらで用意します。」とのメッセージをもらったのですが、最低でも4枚はいりますよとお答えしておきました。





3曲目には川島素晴さんの「 Poli Etuded for Piano IV.Non-Poli 」です。ショパンのエチュードを中心に様々な作品をコラージュしたもので、バリエーションのように進んでいくとともに、ショパンがだんだん“壊れ”ていく様子が最高に面白い作品です。


「軍隊行進曲」「革命のエチュード」「黒鍵のエチュード」「英雄ポロネーズ」「バラード第3番」「スケルツォ第2番」など、ショパンをあまり人前で弾かない僕でも、レパートリーにしているよく知っている作品なので、すんなり弾きこなせるかなと思っていたのですが、何が何が…
かなりキツいです。

最後は黒鍵が“ぶち壊れて”終結します。


この作品は9月にニューヨークでも弾くので、現地のお客さんがどんな反応をみせてくれるのか楽しみです。



この3曲、とても難しいんですが、その労力を補って余りある、それぞれの作曲家の個性が刻印された素晴らしい作品なんですね。なので、弾きこなせるようになってくるにつれ、凄く楽しいんです。


7月、名古屋近辺にいらっしゃる方は、ぜひ一緒に楽しみましょう。
後半にはトリオでケージの4分33秒や、プーランクなど楽しみ作品をお届けする予定です。

プロフィール

Noritaka ITO

Author:Noritaka ITO
伊藤憲孝(いとうのりたか)‐ピアノ

1978年生まれ。オランダ・アムステルダム、ドイツ・ベルリンで研鑽を積み、イタリアで行なわれた第18回“チタ・ディ・ヴァレンチノ”国際コンクールで第1位を受賞。日本国内主要都市をはじめ、アメリカ合衆国、ドイツ、オランダ、オーストリア、スロヴァキア、イタリア、セルビア、マレーシア、韓国など世界各国で演奏を行なっている。その演奏は、The New York Times(アメリカ合衆国)をはじめ、Die Neue Zeitschrift für Musik(ドイツ)、Rundfunk Berlin-Brandenburg(ドイツ)などで取り上げられている。スロヴァキア国立歌劇場管弦楽団をはじめ国内外のオーケストラとの共演。室内楽奏者として、NHK交響楽団、サイトウ・キネン・オーケストラ、名古屋フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団、広島交響楽団、ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団、香港シンフォニエッタ、マレーシア国立交響楽団各奏者との共演など、活発に活動を行なっている。
 
録音は、国内でディスク・クラシカよりCD <Beethoven, Activated>と<ベートーヴェン/リスト:交響曲第7番他>をリリース。ヨーロッパにおいては、ベルリンのKreuzberg Recordより世界初録音の4曲を収録したTrio kuのCDアルバムがリリースされている。
また、iNos Recordsよりインターネット配信限定となる<ムソルグスキー:展覧会の絵>、<ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番>がiTunes、AmazonMP3などを通して世界111ヶ国の国と地域にリリースされている。
 
現在、福山平成大学准教授、エリザベト音楽大学大学院非常勤講師をつとめると同時に、マレーシアのSEGi College universityでのマスタークラス、トーキョーワンダーサイトでのワークショップなど、各地で後進の指導を行っている。

Twitter

訪問者数

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: