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ハーヴァードの学生気分~ストラヴィンスキー:音楽の詩学




ストラヴィンスキーの名著「音楽の詩学」を読みました。色々深く考えさせられますね、音楽の捉え方への多くの示唆に富んでいました。




この本は、イーゴリ・ストラヴィンスキーが、1939年10月から翌年5月にかけて、アメリカ合衆国のハーヴァード大学で6回にわたり《音楽の詩学》と題しフランス語で行った講義録の全訳です。

この講座は、元々チャールズ・エリオット・ノートンというハーヴァード大学における初の美術学教授の名前にちなんで設けられたもので、美術、建築、音楽の領域で創造的な活動を展開する芸術家や学者を招き、通常6回の講義を行ってもらうものだそうです。音楽の領域では、ストラヴィンスキーが初の登檀者で、その後ヒンデミット、コープランド、バーンスタインを経て、近年ではバレンボイムが担当しているとのことです。
いやはや、流石はハーヴァード!!


訳者はブーレーズの書籍などで愛読している笠羽映子さん、すんなりと入ってくる文章が心地よいです。



内容は、ストラヴィンスキーが行った講義に連動しています。

第1課:顔合わせ
第2課:音楽現象について
第3課:作曲について
第4課:音楽類型学
第5課:ロシア音楽の変化
第6課:演奏について/エピローグ


音楽を専門にするわけではない学生たちに話をするため、音楽理論というよりはストラヴィンスキー自信の美学的見地を語るといった内容で、普段どうしても音楽理論やテクニックに関心が行きがちになってしまう僕としては、非常に興味深く目を通しました。


いくつも心に残る言葉がありましたし、演奏家への手厳しい批判も、身が引き締まる思いでした。全編の多様性を貫く一本の本質は、ストラヴィンスキー自信がエピローグで記しているこの言葉に集約されていると思います。

「私は何度も繰り返し、音楽家の心を奪う本質的な問題にたち戻りました。その問題は、つねに、そして必然的に、多様性を通じた一なるものの追求に帰着することを私たちは看て取りました。」




こんな素晴らしい講義を、ぜひ生で聞いてみたかったですが、本書を通してストラヴィンスキー招聘教授の教えを追体験できました。

プロフィール

Noritaka ITO

Author:Noritaka ITO
伊藤憲孝(いとうのりたか)‐ピアノ

1978年生まれ。オランダ・アムステルダム、ドイツ・ベルリンで研鑽を積み、イタリアで行なわれた第18回“チタ・ディ・ヴァレンチノ”国際コンクールで第1位を受賞。日本国内主要都市をはじめ、アメリカ合衆国、ドイツ、オランダ、オーストリア、スロヴァキア、イタリア、セルビア、マレーシア、韓国など世界各国で演奏を行なっている。その演奏は、The New York Times(アメリカ合衆国)をはじめ、Die Neue Zeitschrift für Musik(ドイツ)、Rundfunk Berlin-Brandenburg(ドイツ)などで取り上げられている。スロヴァキア国立歌劇場管弦楽団をはじめ国内外のオーケストラとの共演。室内楽奏者として、NHK交響楽団、サイトウ・キネン・オーケストラ、名古屋フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団、広島交響楽団、ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団、香港シンフォニエッタ、マレーシア国立交響楽団各奏者との共演など、活発に活動を行なっている。
 
録音は、国内でディスク・クラシカよりCD <Beethoven, Activated>と<ベートーヴェン/リスト:交響曲第7番他>をリリース。ヨーロッパにおいては、ベルリンのKreuzberg Recordより世界初録音の4曲を収録したTrio kuのCDアルバムがリリースされている。
また、iNos Recordsよりインターネット配信限定となる<ムソルグスキー:展覧会の絵>、<ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番>がiTunes、AmazonMP3などを通して世界111ヶ国の国と地域にリリースされている。
 
現在、福山平成大学准教授、エリザベト音楽大学大学院非常勤講師をつとめると同時に、マレーシアのSEGi College universityでのマスタークラス、トーキョーワンダーサイトでのワークショップなど、各地で後進の指導を行っている。

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